『ザ・コーチ』 谷口 貴彦著 を読んだので感想をメモ www.shogakukan.co.jp
- ”目標の達人” って言葉が読み終わった後にしっくりくる
- ストーリーと軽快な文章でサクサクと読み進められた
- 目的・目標・ゴール・夢・ビジョン
- 目的から分解されていき、具体的な行動目標となる、かと思いきや目標が通過地点である
- 目標はゴールを知識・ツール・能力に分解した後にそれぞれを変換したもの
- まとめ
”目標の達人” って言葉が読み終わった後にしっくりくる
本書のサブタイトルは「最高の自分に出会える『目標の達人ノート』」ですが、正直に言って読む前は胡散臭さを感じました。自己啓発本と呼ばれるカテゴリーよりは技術書を読んだ方がマシとの偏見を自覚していて、その流れから本書のサブタイトルには懐疑的な状態で読み進めました。
結果、読み終わった後の感想としては「すごい良書、目標の達人になりたい!ならなくちゃ!なってやる!!」だったのでやはり読んでよかったです。
ストーリーと軽快な文章でサクサクと読み進められた
『1分間マネージャ』の時にも感じましたが、良書と呼ばれるものの多くは読みやすさに優れていて、かつ本のボリュームも重厚ではなくて1-2時間でおさまるものなのかもしれません。
これまた技術書との比較になりますが、時には手を動かして手元で検証したり、本の内容を理解するために別の文献を(Googleが多いですが)当たったりする技術書とは異なり、空き時間でスラスラと読み切れるボリュームでした。
目的・目標・ゴール・夢・ビジョン
目的・目標・ゴール・夢・ビジョン、この5つの言葉を自分なりに理解したつもりになれれば、本書を読む恩恵の50%は手にしたと言えると思います。箇条書きにしてしまうと味気ないですが、後で思い出すためにあえて自分の言葉で記録しておきます。
- 目的: やりがい、いきがい、のような生涯を通して目指すことがら。具体的でなくてよいはず(例、家族を幸せにする、楽しく生きる)
- 目標: 目的に到達するために到達すべき状態、具体的であり、かつTodoのようなやるやら評価をしない(食べるのに困らない程度の給与を手にする)
- ゴール: 目的に到達するための、決定的な目標
- 夢: 雑然とした個人的な望み。レベル感もまちまち
- ビジョン: 目的に到達した時や、ゴールを達成した時を想像すること。それによりモチベーションを高めて、自らを前進させる
目的から分解されていき、具体的な行動目標となる、かと思いきや目標が通過地点である
多くの考え方の面白さを味わえる本書ですが、特に良かったのが”目標は通過点”という表現です。 目的に向けてやることを整理し、細かな目標を計画してそれに邁進するのは仕事でもよくあることでしたが、本書を読むまでは「目標は達成するか、しないか」と考えていました。期日までに行うことを具体的に決めて、それが期日までにできなければアウト、といった考え方です。
それを本書では「通過する状態」として表現したことで、柔らかい思考で目標に向けて行動を続けられることを認識させてくれました。
加えて、その「通過する状態」に対しての日常的な問いかけとして以下の3パタンを設けることで、適宜行動を修正しながら進めることを良しとしていることは、アジャイルなどの不確実性に対して常に修正しながら細かなアウトプットを出していくことにも通じるのだと感じました。
- どうすればその目標の状態になれるだろうか?(Howを考える)
- どうすればさらに早くその目標の状態に近づけるのか?(改善をおこなう)
- 目標の状態に近づくために、今日、自分は何をやったか?(振り返り)
目標はゴールを知識・ツール・能力に分解した後にそれぞれを変換したもの
本の内容的には順番が前後しますが、ゴールを掲げた後で、それを知識・ツール・能力の3方向から要素に分解していき、それを目標に変換することについても学びがありました。正直にいうとここは読んだつもりで頭に入っておらず、今ブログを書くことで読み直すことができました。やはり振り返りは大事ですね。
一見すると知識と能力は同じに思えますが、知識はインプット、能力はアウトプット(力)と捉えるとスッキリしました。(ここは私なりの定義であるため、著者の意図とは多少のズレがあるかも)
ツールは知識と能力を高めるためのあらゆる具体的な物や手段で、参考書や計画表、このブログもその一つと言えるでしょう。 その3方向からゴールとして掲げた「目的にいたるための決定的な目標(状態)」へ自分を届けるために、あらゆる要素を列挙したうえで、その要素を「ゴールに到達するための通過する状態=目標」として定義する。
....こうして書くと言葉遊び感がなきにしもあらずですが、しかし本書を読むと、これがしっくりときますし、実際にモチベーションにつながるのですから驚きと言えます。
まとめ
ただ本を読んだだけでは何も変わらないのですが、そこから学び、その後の行動を変えることができます。 本書は基本的に前向きではあるのものの、多忙や生来の近視眼的な性格から迷走しがちな自分にとって、目標を掲げるノウハウを理論的に教えてくれた素晴らしい本でした。
本書の言葉を借りるなら「効果的な目標を立てるための知識」を効率よく学ぶために大変効果的な「ツール」であると言えますので、前に進みたい方にお勧めできる一冊です。